昨日は学校から抜け出し京都国立近代美術館 | The National Museum of Modern Art, Kyotoのプライス・コレクション展を観た。宣伝の段階からメインにすえられていた若冲は、図版で観ると、彩色された精密な絵画が圧倒的に印象的だが、実際に作品を前にすると、墨一色とその濃淡だけで描いたものが思っていたよりずっと面白かった。《花鳥人物図屏風》とか、一瞬なんなのかわからないようなタマゴのような鶴の絵など、筆の動きが見えるのが素敵だし、遊び心がある一方で「これは描けない!!」と思わせる必然的な位置に来てくれる。着色の作品も期待を裏切らなかった。初めてメガネをかけた時の世界を思い出す。これは、絶対コンタクトではなく、メガネの異質な感じである。ある筈のない物の輪郭が、(子供の描くいびつな黒線でなく)ちょっと現実的でない器用な極細でうきあがってくるのにくらくらする。
 個人的には長沢芦雪水墨画も気に入って応援したくなった。
 一階の会場で、ちょっと冒険的に、酒井抱一の12月の花鳥を描いたものを、障子を通した自然光で観てみようという展示をやっていた。作品にとってはひょっとして痛手かもしれないが、面白い企画だと思う。茶室の掛物などは、遠くの障子から柔らかく差し込む間接光で拝見し、お茶を飲む間に時間が過ぎて、帰りに名残を惜しんで再度拝見する時にはまた違った印象をみせることがある。時間がなかったのでゆっくり出来なかったが、機会があれば夕方とか朝とか、違った時間にみてみたいな。ちなみに下はお茶を点てる茶筅です。