☆Very Merry Christmasss☆


 クリスマスの重み、過剰な期待感は年々薄れていっている気はするが、やはりこの華やぎは悪くない。ちょっと家に帰ると上の住人が念入りに掃除機をかけていたりするのもいとおかし。この世界の多くの人が他の日よりちょっと大切にしている日、というだけで、何か不思議なちからが集まりそうなのだ。こういうとこは非常に単純です。
 山田詠美が『文芸』かなんかの対談で、「神様が降りてきている時には書いちゃいけない」みたいな事を言っていて、さすがだな、と感銘を受けた。この人にとって書く事は仕事であって、だから仕事の上でのプロ意識なんだけど、それだけじゃない。おおきな外部の力に身を任せてぱあっと舞い上がって創ったりなんなりしても、結局大したものにはならない。常にバランスを意識して修正しながら動くことほど鬱陶しく半端なことはないが、それを続けられてこそ、中途半端でなく格好いい大人だとおもう。ただ、ちいさいときは周りの人の手の中で思う存分我を忘れて遊んで、どんなに幸せだったことか。そんなことを言っているから、もうとっくに与える側になっているべき歳なのにぐずぐず中途半端なんだろうけど。でももしかしたら、あの、守られた幸せの感じを身体で覚えているからこそ、出来ることがあるのかもね。

 藍色の空が雪でほのかに明るい。手袋の中で手を握り締めて歩く帰り道。ふわりと包み込むような重さを探してわざと転んでみたりする。ワインを煮込む匂い。そして、ドアを開けたとたん世界は靄のかかった橙色に変わる。
 わたしの大切な人たちが幸せでいられるように。わたしの大切な人たちの大切な人たちが、その人たちの大切な人たちが・・と六回繰り返すと世界中の人と繋がるらしいので、心の中で繰り返して、世界中の人たちが幸せでいられるように。私のChristmas List。