怒涛の送別会がひと段落、薬が効いて昼過ぎまで夢うつつをふらふらしていた。身体はいつになく鈍重で、雨の空気は鉄色、頭だけが熱気球のように少し浮いている。
 空間におけるねじれの位置、というのを習ったことがあるでしょう。決して交わることも並ぶことも同じ点を目指すこともない。3次元のほとんどの直線がねじれているように、世間は狭いねといくら言っても大方の人とはねじれの関係のままだ。それを、なにかの拍子で出会うことが出来て、関わることが出来て、同じものを見て、考えて、味わって、楽しんで、染まって、少し離れても、一次大戦のエースよろしくこのゆがんだ複雑な世界で再び合間見えることが出来るという奇跡を思うときほとんど泣きそうになる。
 なんて常のようにもって回った言い方をしてしまうけど、ほんとは一言でいい。
 あなたに会えてよかった。