ノイズレス 鈴木昭男+ロルフ・ユリウス | 京都国立近代美術館、行ってきた。夜間のみという珍しい試み。刻々と表情を変える薄紫の桜並木が窓の外で誘っているのを、よく頑張って人の注意をひきつけていた。
 集中して音楽を聴くとき、目を閉じますか?私は、音の発生している点を注視してしまう。歌ってる人だったり、演奏する人だったり、場合によってはスピーカーだったり。で、この人の音が聞きたいと思ってみてると聞こえてくるものだ。ただ、往々にして、この音を聴こうと思って聴くなどという悠長なことをやってられなくなる音楽というのもある。冷静な判断処理能力を超えた生の音。ここで私は目を閉じる。一瞬は、小さい時に工事現場の音が怖くてそうしていたように、自分を守ろうとする。でも、実は音の浸食をすでに許している。目を開いて音を取り込むのではなく、目を閉じて音の中に取り込まれていく。
 音の発生しているに違いない、溜塗りの椀を注視し、そんなことを考えていた。

 ヤン・ステーンの宴会。聞こえる?