住所が不安定とか電話が近いうちに通じなくなるとか、今まで一人で対処したことのない事態なのだが、かなり心許ないものである。
 銀行でも郵便局でも、0から始まる郵便番号にすんでいる人が関西にいるとか、免許証と通帳の住所が違うとか、何かしらやましいところがありそうな上、沢山あるわけでもない定額預金をいっぺんに下ろそうとしたりする様子といったら怪しいを通り越して哀れな気がして、聞かれてもないのに言い訳を並べてしまう。それで余計怪しい。普段めったに使わないクレジットカードで続けてJTBにホテル代と新幹線代と鉄道パス代を(一遍にじゃなくて、続けて、ね)支払ったりするので、クレジット会社の人まで心配して間髪入れずに電話してくださる。怪しい。炎天下に薄く埃をかぶったテレビを抱えて歩いているのも大いに怪しい。マイノリティーへの一歩を踏み出しているのだ。