研究計画を先生に話したとき、「一年で終わらなかったらどうするの?」と早速痛い突っ込みを受け、「終わらせます」とハッタリをかました直後の週末なのに気のせいじゃなきゃ遊んで過ごしてしまったわ。
 新居祝いをする子がいるというんで、何も思いつかなくてトルティーヤを作っていったら「他にもスペインの子が来てるの?」ってスペイン人に言われたらしい。闇の友がスペイン人に教わったとおりに作ってくれたレシピに、トゥールの語学学校で更に改良を加えたものだ。その夜はヨーロッパの学生のパーティー作法に浸かってみた。薄暗い部屋で正体不明の緑色の強いお酒にワインに大音量のビートにポテトサラダにフラッシュにちょっと酔ってこのまま踊り明かしてしまえるな、と思ったらなんとなく帰ってきたけど。アイルランドの女の子達、ちょっとゴスっぽいメイクが似合ってて可愛い。

 オーベルニュ地方はフランスでは珍しいことに山岳地帯で火山と温泉がある。Vulcaniaという火山をテーマにした体験型博物館を留学生向けイベントで訪れる。3Dならぬ4Dというヴァーチャルリアリティを駆使した劇場で火山とか地球の誕生とかをお勉強できるのが売り物らしい。熱風水しぶきは勿論、地面が揺さぶられ足元を蛇が大挙して逃げていくと思ったら、火砕流が押し寄せてピュイドドームの盆地は廃墟と化す。最後はエンドロールの途中で非常ベルが鳴って地震が起こり、スクリーンの周りのセットが崩れ落ちるというサービスまである。つまりは、地震、噴火、火砕流、噴煙、土石流のプロセスはユニヴァーサルスタジオ風のアトラクションになっていて、それがなまじよく出来ているだけに、地震の国から来た身には何か腑に落ちないものを感じてしまう。