どこの大聖堂でしょう?

 クレルモンには中国人が多い。でもって、どう間違えても西洋顔でない私は、何も言わなければ当然のごとく中国人だと思われていることが多い。尤も実害はほとんどない。中国語で友好的に話しかけられても理解出来ないくらい。フランス人によく私達同士では見分けがつくかと訊かれるけれど、服装とか全部でやっと判断できるくらいだろうか。「クレルモンでは私以外は中国人なので」というネタもあるけど。
 「でも僕は中国人じゃないって思ったよ」と何故か得意げにロンドンっ子。
 「だって、あんた話すときよく動くだろ、特に、首。」え〜?
 「中国の子はそれ絶対やんない。これは文化の違いだね。」自信たっぷりだが。
…本当に文化の違いだろうか。茶道やってたとき「あなたの、会話のときにやたらと首を動かす癖はよろしくない」としばしば窘められたことを思い出す。言葉が不確かなもので無意味なジェスチャーエスカレートしてる気もする。
 アメリーノトンブは、外国人と付き合ってると相手が変なこと始めた時「文化の違い」の所為だと自分を納得させられて便利だと書いていたけれど、個人的な妙な悪癖が、「異文化」として許容されてしまうという、外国暮らしの思わぬ落とし穴に私もまた無関係でないと気づかされた一コマ。(まあ便利なものは便利なので、彼にはもうしばらく勘違いしておいてもらおう…。)