魔笛 [DVD]

魔笛 [DVD]

 ケネス・ブラナー魔笛、前から気になっていたの、ツタヤで105円だったので♪ちょっと小奇麗で模型のような塹壕とか、お城を利用した避難所と野戦病院とか、そんなどうやら一次大戦中を舞台にした、モーツァルトのオペラの映画化。
 でも一次大戦を舞台に、というより、「戦と憎しみの絶えない世の中」というものを表すアレゴリーとして一次大戦の道具立てが使われていると言ったほうがより近い。ともあれ夜の女王はいかめしいごっつい戦車の上に立って突進してくる。英語で歌ってるのが、大真面目なのにパロディっぽくてちょっとウケる。音楽が、本当にこれ以上ないくらい美しい上に目も止まらぬほど盛りだくさんで密度がありながら、気のせいか軽薄な(おしゃれなというか)感じがするのと、映像が作りこまれていて目に楽しく、でもリアリティが浮いたような感覚を与えるのとの相性がとてもいいように思う。とくに、序曲を(の)バックに流れる映像がアクロバティックで、手品を観てるみたいだった。小さな花からそれを見る兵士、彼のいる塹壕、がある草原の向こうにあるもう一本の塹壕、それらの網目状の広がり、その向こうの飛行機訓練、の下のヴァイオリンなんかを弾きながら行進してくる兵隊さんたち、がいきなり突撃して吹き飛ぶ身体たち...と、引いたり寄ったり、一度も画面を切り替えないで映像が流れて、それが全部、序曲の音楽に合わせていたのだ。