あわただしい毎日で、最近変に固有名詞が出てこなくなって危機感が。パトリスルコントとか、白州正子とか飛んでた。あと三日でフランスに立つので、荷造りなんかもしなければならないのだけど。最低限の手続き関係、図書館利用申し込みとか保険(あれの死亡補償額を見てはにんまりしてしまう)とかは済ませたものの、資料が何が必要かとか、どこで企画展をやってるかとか、そういうところ詰めが甘い。部屋は着々と掃除を進めつつあるが、相変わらず昆虫類との闘いに明け暮れる。
 今朝は映画の撮影があって、コメディーフランセーズに集合したら、その土地が、パリならイエナのような、京都なら白川通のような、旭川なら緑ヶ丘のようなところで、要は少し小高い土地なのだが、そこでは思い思いにピクニックをしている小集団があり、中の一つを見ると、例のモーツァルト服を着たディドロやらフラゴナールやらの18世紀人たちが楽しげに「♪ロッココ、ロッコーコ」と「となりのトトロ」のメロディーに合わせた即席ロココ賛歌を歌っている。ヴァイオリンを弾いているものもいる。もちろん「ぶらんこ」もあり。他の連中を待つ間、時間つぶしにカフェに入ったら、妙にそこのおばちゃんに見覚えがあり、小さい女の子とその弟がいるのだが、なんでかやたらなついてくる。それもそのはず、そのウィーンのカフェ「アレクサンドル」に一昨年の北方旅行中に立ち寄った折、思いもよらない心温まる交流があったのだった。なんてありえない話は夢なのだけど、最後のカフェに行ったことがあるのは本当だったような気もする。でも実際にウィーンでそんな暇があったはずはないのだけど…。案外わたし、現実のウィーンはどうでもよいのかもしれぬ。