『ジプシーのとき』エミール・クストリッツァ監督1989年、というのをお隣の人間環境学研究科の図書館に見に行った。環on映画会というのをやっているみたい。割と狭いお部屋でスクリーンまでの距離が近いので、却って「みんなで観てる」感じが刺激的だった。特に前半は画面が近いのみならず、カメラも人物に近かったと思う。集落の親密な感じそのままなのか、すこし息苦しいぐらいに。音楽も酸素が足りなくなるくらい濃密。その後音楽は変わらないが、視覚的には大分登場人物と距離がとれて楽になったような気がしたが、よくわからない。
 七面鳥についても、私からみると、彼らがあんなに人懐こいなんてありえない話で、ベルハンのおばあちゃんから一族に伝わる魔術なんだとおもって観ていた。少なくとも母の田舎の七面鳥と言えば、鳥小屋の主であって、卵を探索する我々にとっては象徴的な第一の敵、むしろラスボス。睨まれて縮みあがった覚えしかない。いわば007のMであり、小1のいたいけな少女のほっぺたにひっかき傷を作った尾長鳥も、彼女の指令を受けていたに違いない。
 なんとなく、「締切一カ月切ったら映画禁止!」令を今年度初めに発令して以来、「じゃあ締切一カ月以前の映画を経済的理由以外で観ないのは怠惰とみなす!」みたいなわけのわからないおまけが効力を持ってしまって、一人だとさぼりそうなので友達を誘ったら、加えて思いのほか他の分野のひとと話が出来て楽しかった。しかし若干酔って連絡先を聞くとか次につなげる小技を失念、残念。またどこかで会いましょう。