世に二種類の人間がいるという。トマトに塩をかける者と砂糖をかける者と。
私は砂糖といってはばからない種類の人間である。オリーヴオイルと塩も合うのは、料理として後天的に知ったもの。ついでに生でいただくお洒落料理としてはスライスした玉ねぎとみじん切りのパセリとともに酢とオリーヴオイル、塩、レモンでマリネするのが一番だが(モッツァレラとバジルに勝っていると思う)、それにも砂糖を隠し味に入れると全然ちがう。でも、砂糖で食べる、というのはそんな生易しいものではない。とれたてのトマトを乱切り、それに上白糖をばさっとかける。砂糖はトマトの水分を吸収して溶解し、トマトの表面に甘いソースの皮膜を形成し、あっという間に売り切れる。ここだけの話、残ったお皿がまた・・・。
だがこんなことをいうのは関西においてはごく少数派であるらしい。絶滅危惧種といってもいい。うっかりカミングアウトすると相手は「やっぱりあなたちょっと変だと思ってたんだ」な表情を浮かべ、後々云われのない誹謗中傷の的にされかねないのにそうならないのはこの都会人が、絶滅危惧種は保護すべきであり、野蛮人に対しては寛容であるのがシックだと考えているからに他ならない。逆に多少傷ついた田舎者のほうは、スーパーに並ぶのがキュウリと間違われても仕方がないような代物であるのを見れば、大いに気分は慰められるし、愚かな大衆に対して憐憫の念すら生まれてこようというもの。
カゴメ やさいしぼり トマトのレモネード 200ml×24本 ところで、いきなりこんなことをだらだら書き始めたのは、砂糖派に朗報があるからであった。カゴメの「トマトのレモネード」というジュース。トマトが60%でのこりはショウガの聞いた蜂蜜レモン。これが不味いわけがありません。砂糖かけトマトの野蛮なおいしさに加えて、ローラのお母さんが畑で働く父さんに届けさせた冷たいショウガシロップと独立記念日のレモネードの記憶が蘇る、とても気持ちのよい飲み物でした。トマトのなんたるかをしらん関西人のみなさまもぜひ。