突然ですが、美術館ですれ違う見知らぬ善良な方々には出来るだけ優しく接するよう心がけてまーす☆出来るだけあまり邪魔にならないように観るし、シャッターを押すように頼まれたらそれなりに素敵な構図を考えるよ。所謂ナンパの類にも出来るだけ優しく退散して頂きます。
 第一の理由は、生き馬の目を抜く観光地にあって、日本人は安全さと行儀のよさで非常に評判がいいらしいので、その期待にこたえとくのもいいかなーとの考えだ。カメラを持って集団行動する日本人のカリカチュアはおなじみになってしまった一方で、特に個人の日本人は威圧感がないし清潔だし安心!というイメージなんだそうな。フランス人曰く「私らは結構怖がられることもある」というのに、これは貴重な評判。自分の経験に照らすと、行儀がよく不満を言わないのは言葉が不安で小心がエスカレートしてるからなんじゃないかとも思うけど、大事なのは、一人で大部屋の安宿に泊まっても六人向かい合わせの電車に放り込まれても、楽に穏やかな雰囲気で旅が出来るのには、そういうイメージが結構大きな働きをしているのではないかということ。そんな「偏見」ならそう悪くはない。
 もう一つは、メモもってキャプションも作品もにらめっこして、いかにも美術勉強してますって感じになってしまうからだ。これで、仮に私が「もう、邪魔しないでよ、きいー!!」とか言って相手に「いかにも美術勉強してるって感じの人がいて、超感じ悪かった―」という印象を与えてしまったら、その人はきっと美術館に悪いイメージが残ったり、美術を学んでいる人全般に偏見を持ってしまったりする。そういう人が増えると、それぞれ周囲にも悪い感情が浸食し、最終的に美術館とか美術史とかに対する世論がおもわしくなくなるのでは?!そんなことになれば、ただでさえ将来は不透明なのに、さらにご飯を食べるのが難しくなりかねない。だからそんなサイクルは阻止しなければならないのです。
 今日ルーヴルで二時間の間に五度ほど「写真を撮りたいからそこちょっとどいてくれまいか」と言われて、内心ぬううーこの野郎!!とか思いながらそういう阿呆なことを考えてみました。