携帯と一瞬はぐれていた。思っていたほど孤立した気分にはならない。ただただ、不便である。特に、前のが壊れて以来、腕時計を持たないので時間がわからないのが鬱陶しい。時計としての機能が一番活躍しているようで、少し寂しいのだけれど。後は、情報。アドレスは言葉だから結構覚えているけど番号は全くわからない。結局、日中8時間だけで済んだが、情けないほど不安だった。
 キンモクセイの香り。先週から少し気にしていたが、本格的に咲き出したようだ。何故かキンモクセイは香りと花が一緒にないので、「きこえる」というのがふさわしい気がする。日が短くなり、学校も始まって、茶会の準備が忙しくなるころ、今日のように少し湿って肌寒い日、いつもの話し合いの後、暗い道を自転車で帰る途中、ふと入り込んでしまう。あれは、黄色の花の匂いではない。今日も待ち伏せされて、ひとしきり焦燥感に近い気持ちで、おなかがいっぱい。