研究室の見学会で、サントリーミュージアム天保山の『ポンペイの輝き』http://www.suntory.co.jp/culture/smt/gallery/index.html展へ。壁面も天井も黒い箱の中で、スポットライトに照らされて浮かび上がる金やエメラルドの装身具、樹脂で型取りされた逃げ遅れた人々の屍骸、彫刻や壁画。ちょっと立つところを間違うと自らスポットライトを浴びちゃったりしてしまう、なんともスペクタキュラースペクタキュラーな見世物(なんという同語反復)。要所要所に必ず配置される死体の型取りの数々には先生も苦笑されていた。
 美術史を学ぶ者としては、壁画のレベルの高さに驚かされた。もちろん遠近法は使えてないし、群像表現はぎこちないが、衣服の襞の柔らかさ、人間の体の均整が丁寧で優雅。植物を用いた装飾模様も完成度が高い。風俗画/漫画の走りのような壁画もあった。居酒屋の壁に描かれた居酒屋の風景の一こまだそうで、ウェイトレスが運んできた飲み物を見て、「こっち」「いや、おれんだ」と言い争う男、で女給の方は「飲みたい人が飲めば」と他の人にあげちゃう。その横には続きがあって、喧嘩して店を追い出された件の二人が、外で闘いの続きをしている。顔の周りにいちいち大真面目にラテン語で台詞がついているのが面白い。居酒屋でラテン語で喧嘩しちゃうなんてびっくりね。考えれば当たり前の話だけれど。
 その前、午前中は、せっかく大阪まで出るのだからと、国立国際美術館の『エッセンシャル・ペインティング』展も観てきた。エリザベス・ペイトンが断然お洒落。ついでにと立ち寄った、上の小川信治の作品展にも大いに惹かれる。なんだかにやにやしてしまった。
 
 珍しく間が開いたのは、26日の上映会とそれに伴うどたばたの為に他ならない。予想を超える数のお客さまにきて頂き、編集を担当した小冊子『MON』も完成して並び、無事行うことが出来ました。ひゃー。なかなか反省点は盛りだくさんで、これから考えるべきことも多い。発信することの意味と姿勢。難しい。映画の後日談も含め、またいずれ書いてみようと思う。

 気になること。音の影。記憶の重さ。