夜は短し歩けよ乙女読み終えた。かなり予定調和的だけど、クリスマスを前に、ふくふくとした幸せな気分になれる逸品です。文章はキレがあり、伏線は易しい。終始にんまりである。
 『本の旅人』の中に著者と大森望との対談が掲載されており、その中で、京大生的な日常と学生街が間延びしたような京都の街を描くことで、一種の非現実的な空気が生まれ、マジックリアリズム的である、みたいなことを大森が言っていた。(とここまで書いたが『本の旅人』でなく『ダ・ヴィンチ』だったかも知れない。)
 森見登美彦氏的道具立てに強い親近感をおぼえる私としては、南米は遠すぎて複雑だが、そうね、京都に(より正確に言うなら左京区に)暮らしたことのない人がどう読むかは興味深いかもしれない。