帰京(と、あえて言っておこう、まるで京都人みたいに)。目的はビザ申請が第一。金曜朝早くに着いて、新宿駅地下の汚いトイレで身支度し、広尾のシックな坂道を抜けて、申請書類を押し付けてきた。入学許可書が必要なところ、入学登録許可書(とりあえず来ていいから、学期の始まる頃に正式に手続きしなさいね)しかなく、受講期間の記載がなかったため、万事オーケーではないかもしれない。車輪のついた印籠はどれだけ効くものか、取り敢えずは手を尽くして待つ。
 その後は、国立新美術館を冷やかしたり、西洋美術館の『パルマ』展(http://www.parma2007.jp/)を観たり、東京で働いている人たちに遊んでもらって、とても有意義なばかりでなく寛いだ素敵な休日を過ごすことが出来たのだった。
 新美は、オシャレでキレイだった。軽薄な感じがするほどに。多分ご大層なコンセプトみたいのもあるんだろうけど、少なくとも、先日観た九博のロビーのようなわくわく感も西美のしっとりとした重厚さもなく、ガラスできらきら反射した光が森ビルとミッドタウンに跳ね返ってマダム達の白い上着を照らし、モネの水面で不謹慎にひらひらしていた感じだ。ミッドタウン、あれだけオシャレで新しいものが忽然と存在しているのだから東京は凄い。地下なのに照明はシャンパンゴールド。緑にあふれ、水音は楽しげに響く、不安になるほどキレイな場所だった。どこを見渡しても磨き上げられて模型の中にいるようだった。
 オシャレで新しくてキレイなのはわたしも大好きだけど、一遍の隙もなく装った姿に、くすっと笑っちゃったりしちゃあいけないような雰囲気は怖いなあ・・。知らずに関西人なスタンスを身に付けてしまったらしいわたしは「なあに、あんな格好つけちゃって!」とか、茶化してみたくなるのね。でもって何となく居心地が悪くなりかけてたところで、『藤森照信路上観察』展(http://www.operacity.jp/ag/topics/070530.php)は、知的でいながらあっけらかんと笑えてよかった。
 でも実は今回、何より「東京って凄い」と思ったのは、新宿の地下にあるトルコ料理屋に入ったら、食事の注文もしないうちに、店内の照明が落ち、涼しい格好のお姉さんが凄い勢いで腰振って踊り始めたとき。いやあ、世界変わった。