サラダ・ニソワーズ
 トゥーレーヌ学院には世界中から生徒たちが集まってきている。沢山いるもんだからやっぱり最初に聞くのは国籍であり、お国柄みたいなのを読み取ろうとしてしまうものである。私の放り込まれたクラスは、大半をヨーロッパ人が占めている。よく聞くことだが、ヨーロッパの北(ドイツ・ロシア・括弧つきでベルギー)と南(スペイン・イタリア)の違いは著しい。人との距離のとり方がかなり違うのである。イタリアの子と話していたら、気がつくとそこにいたのが、ここにいるなんてことがしばしば起こる。話の間のおき方も。早口でまくし立てられると真剣に聞き入ってしまって口が挟めなくなるので、なんとなく北の方が安心する。沈黙の混ざり具合が。
 スペインとかイタリア語とかは、フランス語に代えるときにほとんど考えるスピードとかモードとかを変えていないようだ。それで、容易にシフトできるし、母音の発音がめちゃくちゃでも通じてしまう。だからといってはなんだけど、私はスペイン人一般に若干嫉妬している。しまいにはスペイン語を始めようかとさえ考えはじめる。でもそれは、私の出くわしたスペインの女の子たちがアクティヴなだけでなく知的で感じがいいばかりか、飛び切りの美人かめっちゃかわいいかで、熱に浮かされちゃっただけかもしれない。あの可愛さはずるいよ、本当に。