我が妹が有能であるのは自明だが(生まれた時から二歳年上の姉を聞き役にしてきたのだ)、3週間見ておくべしといわれるSAL便が十日経たずに到着するに至ってはほぼ神がかっているといっていいだろう。内容がまたすばらしいのだがその充実振りを度外視しても価値ありである。彼女からエントリーシートを受け取った企業は大喜びして即採用するべきだよ、ほんと。もちっと先の話だけど。
夏時間がおわり、朝がちゃんとやってくるようになったが、夕方もまたちゃんと来てしまう。ヨーロッパには夏と冬の間に秋がない代わりに昼と夜の間に黄昏がある。これが夏の夜中なら楽しい限りだけど冬の四時五時にゆっくりと垂れ下がってくるとちょっとたまらない。鬱が停泊する。気のせいか眠くなるのも早い。
 キシェロフスキーの『ふたりのヴェロニカ』を貸して貰って久しぶりに観てた。クレルモンがちょっと出てるのだ。ちょっと得意げに持ってきたポーランドの子は、知ってるっていったら露骨に口惜しがってた。三つくらい下で、ボッティチェリの女性像に目元が似ている。金髪で、ちょっとアンティーク風の花模様が裾に入った軽いフレアスカートなんかを着ている。