日本で西洋美術やってる分にはあまり縁がないと思っていた、作家やコレクターとその生き残りの家族を相手に美術史家が外交術を屈指する生々しいお話などもたまに聞く。ここの中世の先生がエミール・マール(中世美術の大家であります)についてのドキュメンタリー制作に関わった時の話だ。90過ぎてまだまだ元気なマールの娘は、父親のことを非常に誇りに思っていらして、当然の権利と公開前のフィルムを観賞し、計画を全部白紙にしてしまった。完成作は再び陽の目をみず。マールの生涯にはそれほど恥かしい話はないらしいのにね。それでも、資料調べ始めたらあまりにヤバイ話が出てきてしまって研究打ち切らざるを得なくなる、とかよりマシらしい。(それだけ聞いて、私の脳内はもうミステリーなので、連続猟奇殺人が寂れた城館で起こり始めて、中世美術いいじゃん!なんて気分になってます…)
 ところでこの教授、私の目下の敵である。