必修の中でも山場のテストが来週火曜らしい。美術史研究へのオリエンテーションみたいなので、生まれたばかりのひよこみたいな目をしたマダムが二時間しゃべる授業でありました。1、県別のアーカイヴにどんな資料があって、どれが研究の役に立ちそうか、2、歴史的建造物の修復に関わる色々な手続き、3、「文化財」とその修復についての考え方、について。中世だから直接関係ないけど、力のある美術史家なのだろうな。あちこちの建造物の修復や調査に関わった時のエピソードがてんこ盛りで面白かった。とはいえ火曜が終わるまでは敵!
 ヨーロッパの町の中心あたりによくある「歴史的建造物保存地区」quartier historiqueの考え方は、20世紀になってから、ギュスタヴォ・ジョヴァンノーニというイタリア人建築(史)家によって提唱されたそうだ。単に歴史を残す町並みを保存するだけではなく、そこに人が不自由なく住んで、経済活動を続けていくべき、としたのがポイント。歴史的建造物を、孤立したモニュメントとしてでなく、人々の活動の場である生きた「街」の文脈におき、その全体を芸術と捉える考え方は、20世紀初頭のウィーンにて、有名なアロイス・リーグルとカミロ・ジッテによる。と、町並みの保存ではヨーロッパは凄く先進国なイメージだったけど、「町並みの保存」という考え方自体が、ほんの百年弱前くらいに出てきたらしいというのは興味深い。