今日はロータリークラブの例会で、茶道の紹介のプレゼンテーションをさせていただいた。20分だけスライド見せながらしゃべって、そのあと実際にお茶を点てる。ただでさえフランスの山奥から日本は遠く、おまけに日本人でさえややっこしくて敬遠しがちなお茶である。「なんかよくわからんけど深くて凄そうなもの」で終わる危険性は大きく、それくらいなら別のもっと取っ付きやすいテーマにしたほうがいい。でも、いろいろの理由からどうしてもやってみたかったので、かなり工夫を凝らしてみた。
 一つには、意識してフランス人の好きな整然とした合理的な形式に完全に当てはめたプレゼンをすること。序章・一章二章三章・結論の黄金パターンで、因果関係をいちいちはっきりさせておく。二つ目に、パターン化されたエキゾチズムを敢えて、これでもかと利用すること。ハラキリとかカミカゼとか、こっちの人未だに好きなのですよ。ちょっと知ってる言葉が出てくると断然、細かいところまで聞きたくなるものなので。もちろんこちらはキモノ装着。そしてもう一つは、そのエキゾチックなイメージを、確信犯的にこっちの習慣とか歴史のエピソードを例に挙げて比較して笑いを取りつつ、ついてこられる程度に少しだけ訂正していくこと。
 どうやら結果、極東の怪しげな儀式をすっきり楽しく知ってもらえたんじゃないかしらと思う。参加者の皆さんにとっては、第二部の緑色の何かがかなりインパクト大だったようだ(「僕の知ってる限りの言葉で表すならホイップクリームとクレソンだね」という意見も)。私は原稿とかパワーポイントを用意するときに、聴衆の反応を先読みして罠を仕掛けたり、いわくいいがたい感覚によって成り立っている所作やなんかをばっさばっさと因果関係に落とし込んでいく作業が、とても爽快だった。それを語るためにぜんぜん適していない言葉を使って説明するというのはちょっとした冒険なのだ。