更新の滞りは、実生活の充実というよりは、メールを開くたびに新たに自分の不始末が発覚してくるもんでネットが若干怖くなってたからかも。有能にして寛大な先生と後輩と先輩の御蔭様でなんとか切り抜けさせて戴けそうだが、二度と自分が自分のことは出来るとか人並みの処理能力はあるとか時間はきちんとしてるとか勘違いしないようにしよう。一つ言えることがあるとすれば、周りの人びとに助けてもらえることであります。

 昨日は友達のいるうちに折角だからと電車で30分のヴィシーにお出かけ。「ヴィシー」と発音するたびに光と泡の細かい粒子がはじけるような、こんな田舎にあるまじき名前もさることながら、二度目に訪れて改めて気づいたのは、小さい街なのに驚くほど街並が綺麗、それも、お金と手間がかかった小奇麗さであること。公園にも市街地にも、いかにもお金のなさそうな人というのがいない。ごみ一つ落ちていないタイル張りの歩道や川辺を、鮮やかな色の服を着たヴァカンス客がゆるゆると歩いていく。
 ローマ時代から温泉地として知られ、ブルボン一族もナポレオンのお母様なんかも気に入って療養に来られた。ナポレオン三世の時代に近代的な街並が整って、世紀末様式のオペラの劇場やカジノ、スポーツ施設なんかもある保養地に。居心地が良くて綺麗なだけでなく、偉い人がよく来てた関係で、パリとの間の行き届いた交通・通信網があり、第二次世界大戦中の対独協力政府の拠点となる。典型的に保守、スノッブ。それは、周囲の町の住人からヴィシソワ・ヴィシソワーズ(ヴィシーの住人)に向けた評価でもある。おまけにヴィシー政権など、臭いものに蓋をしたいような場所ではあるけれど、でもたまに行くと綺麗で居心地いいんだよねえって感じの場所なんだろう、フランス人にとって。それは、パリ郊外の一部の位置づけなんかと似ていて、文句無く綺麗で住み心地のよいところに、何らかのやましさが付きまとっているような感じがフランス的というか、面白い。

 で、何をしてたかというと、最初こそ温泉の源泉飲み比べとか観光してみたが、その後は座って二時間くらいボーっと川を眺めたり、旧市街をふらふらしてカフェで昼間っからビール飲みつつ道行く人のファッションチェックをしたり*1、どこでもあんまり変わらないのでありました。

*1:日本に帰ったら夕方なんとなくカフェでビール飲んだりあんまりしなくなっちゃうんだろうかー、それはあまりにも寂しい