ラジオから泥棒かささぎが流れ出したのでパスタを茹でる。
 というのは嘘で、ラジオクラシックなど聴いてはいないし本当に流れ出したらショートパスタでは拙かろうし、そんな優雅な気分でもないのは何故かと言うと、右わき腹を中心に昨日から身体中がそこはかとなく痛くて、今日も帰りほとんど自転車押さなきゃ行けないくらい疲れてて、しかもまたもや自分が分かってはいるけどなんとなく先延ばしにしてきたことが祟って超阿呆の大損というのをやらかしたんだけど後処理すら面倒くさい上、研修生仲間が教授の悪口で非常に盛り上がっててぴゅたんどめるどにけるこなーと聞いているのがとっても楽しくて自分の仕事が遅々として進まないんだけどこれも自分の怠惰ゆえで何かむかついてて、その合間にはいくつか懸案が解決しつつあるのに大手を振って喜ぶほどの元気が出ないので、とりあえずちゃんとしたものを食べなければと思って、レンズマメとトマトなどの夏野菜をカレーっぽいスープに仕立ててちっさいパスタをにょきにょきと浮かべてオリーヴオイルなんぞかけて頂くんだけど、わき腹は依然として不機嫌で、いつもこの種の煮込みものを作ると小さな器に何度もお替りしてしまうんだけど箸も進まず妄想の続きを手繰り寄せるに、何で村上春樹が出てきたかというと旅先で友達が海辺のカフカをちびちびと読もうと持っていたからで、あれはちんたら読むものじゃない気がするなァ、私はこっちは妹から借りた日に一晩で読んでしまったけど、旅の恥は掻き捨てで白状するとカフカはちゃんと読んだ事がないのに、今度チェコに行くのは勿体無いわ、とすぐ探すわけに行かないのが田舎で、大学の図書館にオリジナルと仏語訳くらいはあるだろうけど日本語訳はパリにいってもあるかしら、何で読んでいないのかしら、それは高校の時誰か友達が持っているのを、それ面白い、と訊いたら、返ってきた答えが「汚くって救いない」だったのですっかり魅力が褪せてしまっていたからだったと思うが、救いないのはともかく汚いには色々あるんじゃないかと考えてれば読んでたかもしれず、そうすれば今気づいたけどチェコの子に向かって色々と微妙なところのあるミランクンデラよりもカフカの名前を出すという、賢明無難知的な選択が出来たかもしれないが、クンデラも一時はかなり気に入って読んでいたので、短編で、恋人同士のヴァカンスの最初の一日に起こしてしまう悲劇というか喜劇と言うか、他愛なくって怖い話があったのを今になってまた思い出す。コメディー映画祭じゃあ狭過ぎるんだったら、微笑を誘う映画祭なんて立ち上げてはいかがでせう。やっぱり長い?それにしても今日はちゃんと早く寝よう。