右側は、トリップ(牛の胃袋らしい)のバスク風。にんにくの効いたトマトで煮込んである。パリ13区の少し引っ込んだところにあるバスク料理屋にて。お友達の日仏カップル(という言い方も微妙だな)の大のお気に入りのお店で、待たされるんだけど陽気でいい雰囲気の中、一皿で美味しくお腹一杯、リーズナブル。どの料理にもついてくるジャガイモのソテーがまたもちもちしてて美味しい。
 昨日、研修先で、様子を見に来たボスが、我々女の子三人にドラジェを下さった。ボスは、ミシュランを退職して、今はボランティアでオーヴェルニュ地方の財団の活動のとりまとめをしている。
 ドラジェというのは、アーモンドを砂糖衣でくるんだ、云わばフランス風の雛あられである。ただ、多分卵白でつないだ衣は非常にきめが細かくて陶磁器のようにひんやりと硬質である。バニラの香りがする。
 高台寺のそばの料亭でバイトしてたとき、女将さんがよく下河原阿月のどら焼きを買ってきて下さったのを思い出した。こういうちょっとした心遣いはとても嬉しいものだ。阿月の三笠は、食べると例えば仙太郎や出町ふたばの普段使いお遣い物のお菓子とは一線を画す上品さで、餡の一粒一粒が大切にされている感じがする一方、老松や松屋常盤といったお茶席の上等なお菓子とも違い、うちはあくまで「お八つ」、という姿勢がいかにも京都のあの辺の洗練にしっくりくるのだった。