土曜、パリより北のピカルディーという地方に住む友達が、はるばるオーヴェルニュにやって来た。
 折りしも夏至の夜は音楽祭(Fête de la musique)夕方20時頃から市の中心の至る所に野外ステージが立って、あらゆるジャンルの音楽が演奏される。わたあめ屋、ビール、ホットドックのスタンドが立ち、黒い大聖堂にミラーボールが反射する。私のお気に入りの中世の迷宮クレープ屋で腹ごしらえして、暗くなってくる22時頃からぬるいビールを片手にぼちぼち散歩。

 クレルモンナイトライフは寂しい、とみんな言うけど、今回ばかりはこんなに人がいたのかと思うくらい祇園祭風に路上に人間があふれる。あっちこっちにDJが店開きしている前を通れば、踊りが伝染していく。夏至は踊り明かすって本当なのよ。ただでさえざわざわした夏の夜の空気が、低音ビートに満たされて飽和状態。狭い路地に入り込んだらカーニバル風の一団に巻き込まれて、サンバを刻むティンパレスとホイッスルにはちょと抵抗するの難しくって飛び跳ねてしまう。老若男女、みんな陽気で、目が合えば笑顔を交わし、歌を歌えば続きを歌い、踊りだせばさりげなく身体が動き…、これは夏至の魔法か音楽の力かこの街の人びとがおまつり好きなのか。同じフランスでも北国の友達はびっくりしていた。

 今日は恒例のヴィシーに。もちろん、昼間っからビールを飲み、河を眺めながら昼寝をするのである。この素敵なお楽しみ(明るいうちにビール)が日本ではやりにくくなるに違いない*1ことを悲しむ私を友達は面白がっている。
 私たちはこの一年間、同じような時期に同じような問題に行き当たっては愚痴を言い合ったり励ましあってきた。選ぶ解決法とか気分転換とかはそれぞれだったけど、彼女が違う街で頑張っているっていうことそれ自体がどれだけ励みになってただろうって改めて思う。私たちの冒険もあと五週間。

*1:なので、まだ京都にいる方はたまに付き合ってくださいね