巨匠とマルガリータ (上) (群像社ライブラリー (8))

巨匠とマルガリータ (上) (群像社ライブラリー (8))

 小説を読む暇はないことになってるんだけど、昨日第一の書まで読み終えてしまった巨匠とマルガリータ。常に善を欲し悪をなすあの力の出現で、現実は骨抜き、首が転がったり飛んだりまたくっついたりする。語りは一筋縄ではいかないけど文章が楽しくて、ドタバタ喜劇風でもあるので、がりがり読めてしまうんだけど、怖いことに、そのうちに自分までまともじゃなくなってしまったような気がする。メフィストは素敵、なんて迂闊に口にしない方がよろしいのだろう。それから、ロシア世界は全く不案内なので、みんなが楽しそうに話していることがいまいちわからない、というその温度差にはまりそうになる。大体が骨抜きにされる前の現実(そんなものがあればだけど)だって、現実感があるとはほど遠いし。そんなこんな、自分の知らなかったところにこんな面白い世界が広がってるなんて、なんて素敵なんでしょう!
プラハユダヤ人地区にて。