Rue89というフランスのニュース&評論サイト(Rue 89)の日本語版があることをクーリエジャポンのページで知った。スタッフによる日本語版用の記事がある。中に、『フェルメール展』批判(http://www.rue89japon.com/?p=545)。
 言いたいことはわからんでもないけれど、「おヨーロッパはこうでございますのよ」といって人を怒らせるだけでなく、心ある人に読んで頂いて状況の改善を訴えていく気があるなら、このフランス語直訳調の日本語は何とかしたほうがいいんじゃないか。例えばフランス人なんかが書いて、それを個人的にブログなんかで訳しているというならわかる(もっともこういうのを演習とか購読で読みあげたら「ここはフランス語の授業じゃない!」って怒鳴られそうだけど。)けれど、どうやら最初から日本語の記事らしい。これは、ひどいと思う。
 それから、研究成果を語る「文体」としての展覧会の展示、という立場でかなり辛口の批判をしているのに、今回のフェルメール展で、実際に「どのようなコンセプトに基づいて、どのような作品について、どういう展示方法がとられているか、・・・したがって、何が悪いのか」についての分析は、具体的になされていない。過去のフェルメール展と比べて「中身がない」と判断を下すなら、上のようなことを明らかにしておかなければ失礼だし、中身のない批判になってしまう。外から、たとえば展覧会運営の在り方を取り上げて表面的に批判するのは易しいし、その問題点など、心ある人は十分に分かっているのではないかと思う。繰り返すが、「おヨーロッパではこうでございますのよ」と言いたいだけなら、別に文句はない。それ以上のことを伝えたいのなら、この記事では、語り口も分析の対象も不十分だと思う。
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*1:なお、私はその展覧会にはいったことがないので、残念ながら批判も用語も出来る立場にありません。美術館に内部からかかわって苦労してきはった先生がたに美味しい日本酒をごちそうになった以外、日本の美術館を擁護する義理もたいしてないのです。なので、私にここまできいきいと若干ヒステリックな文章を書かせたのは、ひとえに上に挙げたサイトの暴力的でなげやりな文章の功績です。