すぐに撃沈したいくらい眠たいのにぐずぐずしている。
 姉弟子でもある先生が、きちんとやってればひとつのことなら叶うよ、私は、石に齧りついてでもこれで生きていくと思ってたから、とおっしゃってたのを反芻していた。それが気になって、本意もコンテクストも置いておいて、耳に残っているその言葉だけでいろいろと考えていた。
 というのも、私は、それが効率的なのはわかっていても、ひとつのことをわき目もふらずにやることが苦手で、そうじゃないやり方もあるはずだと思っていた。けれど、今更、絶対叶えたいひとつのことに執着しきれない自分の中に、石に齧りつくところへ追い込まれるまいと思って、何かにしがみ付いて怯えている姿が見えたような気がしたのだ。結局半端な選択肢を広くもって、いつかの逃げ道にしようと考えているだけのような。相変わらず、研究の成功だけを目的とした人生設計は無理だし、違う分野の出来事や日常の瑣末な瞬間に心躍らされる体験は捨てがたい。ただ、いろいろ一遍に大事にしながら前へ進むのは、私にはこれしかない!!と思って進むのよりよっぽど難しそうだ。気がつくと逃げ道の確保とか脅えとかに囚われて身動きが出来なくなるかもしれない。うーん、難しい。