さて、昨日は第一日曜日=たくさんの美術館が無料開放になる!という素敵な日。私も、一応学生でしかも美術とか勉強してるんだけど、欧州の素敵な制度(若者無料!)を乱用するには若干年を重ね過ぎてしまったため、こういう機会は十分に生かさなければなりません。朝からロダン美術館、昼にはクリュニー(中世美術館)に。クリュニーは一ユーロでオーディオガイドも借りると知らないことちゃんと説明してもらえるのでとても楽しい。マイナーどころかもしれないけど、彫刻とか金細工とか本当に可愛いのでお勧めします。場所もいい。ただ、昨日はものすごい人がいて、雨のために湿り気を帯びた生温かい空気&雨のために自然光を利用した照明が暗くなる…というわけで、すっごい眠くなって、途中一時間ほど仮眠をとりました。
 暗い、といえば、こちらの室内は本当に暗いところが多い。こちらへ来てから三週間ちょっと、色々な図書館を試しては居場所作りに励んでいるんだけど、出納の制度がややこしいのは、案外慣れる。最初わっけわからんくって、係に何か頼むたびに一回りずつ自分が阿呆になってくような惨めな気分になった美術史研究所の図書館も、実は席が決まってるから皆静かだし、狭くて目が行き届いているから盗難とかも安心だ。ただ問題は室温と光量。つまり、超素敵な楕円型の三階分吹き抜けの大ホールの平土間に閲覧席があり、壁沿いを三階建ての書棚が取り囲む、という開放感に溢れ、かつ学問的な設計、すなわち、寒い。そして、手元ランプと天井ランプはあるものの、メインの光は、その楕円型の天井の曇りガラスから採光するので、午後に日が陰ると耐えがたく眠い、じゃなくて暗い。というわけで、コートを足元にぐるぐる巻きにして、パソコンの画面をぺっかーんと明るくし、かつ一定時間ごとに徘徊したり音楽を聴いたりしてしのいでいるわけです。(つまり他が劇的に明るいわけではないってわけで…)
 もう一個。昨日の夜食べたものが凄く美味しかった。鴨の腿(かな)をベリー系の風味のする甘辛いソースで煮込んだものなんだけど、中に、キノコとレバーと生クリームとおそらく他色々による特製パテが詰められていて、そのクリーム部分と鴨肉の渾然一体感といったら素晴らしかった!マッシュポテトさえちょっとグレードの高い味がした。オデオンの近くの普通のビストロで、度々行くにはちょっと値段はするけど、他のものも食べてみたい。それ食べながら、久しぶりに会う人と話して、自分の言葉の精度が鈍ってるなーやばいな〜と少し思った。美味しいもの素敵なもの直視しがたいもの、こんなにたくさんの鮮烈な物事に囲まれているのに、感覚を濁して楽をしては勿体ない。