本当に寒い日は、昼の二時くらいから空気が重くなり、外に出るとガソリンのにおいが少しして、冷気がのしかかって地面に打ちのめされそうになる。今日はそんな日。11月にこれなら、ここは相当寒くなるのだろう。もっと寒くなるときっと、反対に上空まで空気が透き通って無味無臭無音の世界がやってくる。それは好き。
 今日のニュースで見たんだけど、少し前から、現在個人蔵のルーカス・クラナハ(父)の《三美神》をルーヴルが購入できるように、一般の皆さまに寄付を募っているらしい。国宝(tresor national)クラスの作品のため、ルーヴルは優先的に購入できるんだけど、総額四百万ユーロで、企業からの大口のメセナを加えた後でも百万ユーロばかり足りないのだそうだ。
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 映像見る限りとても状態がいい。羽飾りのついた赤い帽子とか首飾り、薄絹は何ともけしからんのに、真ん中の子の顔だちは、思わず「子」と書いてしまったけど本当に可愛らしい。ルーヴルは、すでにクラナハを五点持っていて、そのうち一つの《ヴィーナス》は今回の三美神と似た主題の裸体の女性なんだけど、筆は落ちて部分的に工房の手も入っていると言われるので、北方ルネサンスの最重要画家のひとりでありセンシュアルな女性の裸体を魅力的に描く画家のクラナハの質の高い傑作たる《三美神》はルーヴルに欠けている、是非とも補完すべき作品であるとの論理だ。