"Il n'y a pas à choisir entre les arts, il faut être Dieu ou architecte."どの芸術かなんて選択肢はない。神になるんでなければ、建築家にならなければ。(シャルル・ガルニエ、1851年)


 本日会期終了の『シャルル・ガルニエ』展へ。第二帝政期に大活躍した建築家。若くして(35歳!)コンペに勝ってパリのオペラ座の設計を任される。それで出来たのが今のオペラにあるオペラ座です。
 オペラ座設計のコーナーには、平面の見取り図みたいなのだけでなく、仮面のモチーフや花綱をつかった装飾まで丁寧かつ正確な比率で描きこまれた側面図、ななめ上から俯瞰した完成予想図、シャンデリアや階段の細部、ロビーの天井画のプランまで!どれも勿論巧い、というか、建築家って凄いのだ。オペラがすでに、詩、音楽、役者の歌と演技(フランス語では歌も演技も演奏も併せてinterpretationというので便利。しかもこの本来の意味は「解釈」というのが実によく出来てると思う)や舞台の演出によって、すでに最大限に感覚にうったえる総合芸術であるとすると、その「オペラに行く」体験、「オペラを演出する」こと自体を纏めて演出してしまえるのが建築家。まさに芸術監督っていうか、Dieu ou architecte(神か建築家か)というだけあって、なかなかこんな仕事は出来るもんじゃないです。もともとカリカチュアも描けば戯曲も書く多彩な人。この設計のために、彼はヨーロッパ中の劇場をまわって、舞台側と客席とのプランから、装飾とか光量、音響までくまなく調査したらしい。客席に入るまでの間に一度大階段でクライマックスを設けているそう。やっぱりガルニエの方で一回オペラをみなければ!!
 オペラ座の他には、美術学校のコンクールでローマ賞を受賞して24歳くらいからローマに行ってたときの図面がたくさん展示されていた。遺跡や建築の正確な図面だったり復元図だったりなんだけど、復元図に、ポンペイの壁画の色調でかなりはっきりとしたポリクロームの色付けがされていたのが印象的。あと1889年の万博の際に、世界のお家紹介企画みたいなのをやってて、端正な水彩で中世フランスとか、アラブとか、日本の建物の平面&側面図で表わしているのには心躍った。
 「なんとなくサンジェルマンの辺り」という情報のみでオデオンを出発し、地図忘れたのと住所控えてなかったから色んな人に聞いてやっとたどりついた、国立高等美術学校のギャラリー。ここ入った瞬間の天井が素晴らしい。

あと、今日はとても天気のいい日でした。


 このあとマレの界隈を散歩していたら、運命のバッグを見つけてしまった。ただし予算の1.5倍くらいして、でも運命のバッグなだけあって値段も私には高いけど十分妥当に思われ、運命だけに一目見て気に入って、手にとってあけたりひっくり返したりするとさらに心惹かれたりして、だが予算の1.5倍するものをその場ですぐに買ってしまうことはさすがに良心が許さないので…、と以上のことを店員に説明してその場を去ってきた。今予算を再調整するか、準運命のバッグを探すか、いずれかのraison suffisante(いいわけ)を考案中。