突然ですが、アミアンに行ってまいりました。だけどまずは、何を押しても、ボーヴェの大聖堂をご紹介したい!!

 夕陽を浴びて薄紅色のバラ窓。



 内陣の高さはゴシックの聖堂としてはヨーロッパ一だそうだ。ちなみにカテドラルは大体平面図を描くとキリストの十字架の形になる。内陣とは、まさにその頭が置かれる部分のことで、ミサのときに司祭が話をしたり、儀式がおこなわれたりする重要な場所。

 聖堂の中では、本来、柱が木の枝のように枝分かれして広がり、ドームになった天井の重さを分散して支えるようになっている。その構造は、理にかなっていて強いだけでなくとても美しい。

 だけど、内陣をヨーロッパ一高く作ろうという挑戦をした結果、二度も崩れ落ちてしまったそうで、結局経済的な問題もあって、身廊なし、内陣と交差廊のみの未完の聖堂となっている。さっきの十字架の例を使えば、頭と腕の部分だけあって、胸から下がない!聖堂といえば思い浮かぶ、二本の塔の並ぶいわゆる「ファサード」というのは、足の下のところなので、その部分も勿論ないということだ。
 中には、柱と柱の間隔があきすぎてたから間に一本入れて、次から少し狭くしてみたりとか、木の枝部分をたくさん作ろうとしたけど、結局構造的に役立たずになってしまったりとか、色々上手くいっていないところがある。なんだか、今から考えると途方もない時間をかけて、交代しながら、財産を集めては天にそびえ立つ聖堂を作ろうとしてた制作当時の人々の考えていることが分かるような気分になる、とてもチャーミングな「失敗例」。

 ちなみにステンドグラスも素敵。13世紀14世紀のが残っていないところは、20世紀の現代作家による宗教主題の作品が嵌っているのだが、これがかなりモダンでよかった。