どんな魔法をつかったの?と聞かれるくらいに見事に晴れて、プラス10度を越える陽気。短編映画の会場に引きこもっているには勿体ないほどなので、かなりサボって街中をうろうろしていた。




 修復作業中のため前回はちらっとしか見られなかった世界遺産のノートル・ダム・デュ・ポール(サンディエゴの巡礼の道にも入ってたんじゃなかったっけ?これは、中の写真も結構撮ったのでまた折を見てご紹介します)と、我らが街のカテドラルの塔を横から見たところ。この街の黒い石は、青空のもとだと本当によく映える。
 短編映画祭は、街の大きなイベントの一つ。作り手・買い手の交流の場であるだけでなく、大学生とか若者は大概ボランティアに登録して学祭気分を謳歌するし、客にとっても毎日一回あたり5〜6本をセットにした上映を二個三個観て、玉石混合の中から自分も審査員のようにしてああだこうだいいのを発掘するという楽しみがある。町中にすんでいる人は30枚とか50枚綴りのチケットを買うと、一般の部のグランプリの投票権をもらえたりするので結構真剣。
 ただ、大体一回の上映で1〜2本はちゃんと儀礼的じゃない拍手喝采が起こるのがあるけど、え?と思うのもあって、ブーイングがあったことも!ヨーロッパやフランスのアクチュアルな問題意識とか、あまり知らない国の作品、実験的な映像がみられるのは大きなメリットだけど、テーマの珍しさや重さに甘えているんじゃないかと思えるような作品も。短いからこそ密度の濃い、過不足の具合まで綿密に調整された完成度の高いものを求めたいところが(これ結構ミステリの短編に通じると思う)、10分が「長」く感じられるってどういうことよ??というわけで、エンドロールとか観てるとたくさん人手を使って、専門的ないい道具を使って、しかもどこそこからちゃんと助成金を受けているのに、もう少し詰めたらよいのに、と思うようなものが結構あるのは残念だった。
 あんまり観てないので審査はできませんが、よかったと思ったのはイギリス、Benjamin CraigのWaiting for Gorgo(ゴルゴを待ちながら)、非常にくだらないテーマなのに重層的なサスペンスと品性のある笑いがあり、役者も素晴らしかった。フランスではSebastien CarforaのHurlement d'un Poisson(うお座男の悲鳴)よくある閉塞的な状況がとてもお洒落に演出されていて、せりふ回しが気が利いていて、かつ救いがあるので。
 Samuel Orti MartiのアニメーションVicentaは、面白かったし会場が物凄く沸いていた、けど笑いをとるのに下ネタおよび残虐な描写に頼りすぎな気が。Peter GornsteinのPeaceforceは問題意識は有効で、廃墟のイメージにも凄味があるし、一人のひよっこの兵士の中での避けがたい変化を描いて説得力がある。つまりよく出来てると思うんだけど、あまりに救いがない、元も子もない、酷い、のでやはり好きにはなれない。

 そしてお約束はカキ♪美味しゅうございました!!