ホタルの光窓の雪〜ではなく、猛烈な雷雨のため深夜なお明るいパリである。蒸し暑いのが続いていたから有難い。ここのところかかってた仕事を今朝がたまでかけて一旦まとめ(終わらせたとは言うまい)、七時くらいにお風呂に入ってゆっくりストレッチしてから寝た。限界超えるまで疲れてる時の常として物凄い金縛りに遭い、寝ているはずなのにずんずんと落ちては引っ張り上げられながら知ってる人たちの声をたくさん聞いた。みんな、久しぶり!
 昼過ぎに起きてこころからぼーっとしながら行水し、美味しいコーヒーを飲み、少し目先の変わったものが見たくなって、アンヴァリッド(廃兵院)付属武器博物館の特別展『軍神の庇護のもとに―ヨーロッパの貴公子の武具―(Sous l'égide de Mars)』。
 残念ながら特別展なので第一日曜日でも無料にはならず、床面積からいうと少し損した気分になりそうなんだけど、よく見るとかなーり楽しめる。何が展示してあるかというと、馬上槍試合の時に貴公子がつけたとっておきの鎧と楯、たまに馬の鎧。ごくたまに剣やピストル。そのデザインに使われたデッサンや版画。ルネサンス期、16世紀前半が中心で、シャルル九世、アンリ二世、スウェーデンのエリック14世といった、何人かの周囲を特に重点的に集めているため、制作拠点は限られ、時代的な幅も少ない。つまり、鎧の形をいくつも覚えなければいけなかったり材質が変化したりとかはあんまりない。主だった様式も三つほど。その後は、何を見るかというと、表面の細工!これが、凄い!
 そもそも王様の晴れ姿の鎧とあれば、その辺の部屋の装飾とは比べ物にならないくらい気合いの入ったデザインなの。で職人も腕がいいから、とにかく、浮き彫りが巧い。

 ちなみに人間の鎧だけで25-30kgほど、馬の鎧が同じかもう少し重いくらいらしい。

 馬の鎧のお尻部分の浮き彫り装飾。

 というわけで、19世紀ストには義務鑑賞の対象からは外れるとは思うけど、マニエリスムな筋肉ムキムキとか空間恐怖じみた版画とか好きだったら絶対楽しめると思う。26日まで。
 そのあとは明日会期終了のグランパレ『自然と理想、17世紀の風景画(La Nature et l'idéale)』。やっぱりクロード・ロランいいなー。