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久しぶりにけいぶん社に立ち寄ってみた。
まだ入手していない来年の手帳を物色するのが目的。ここずっとDelfonicsの絵本のような装丁のを愛用していて、使いやすいし大学生協で安く買えてよかったが、今年はこれというデザインのものに出会えないので思い切って変えることに決めたのだ。条件は、一週間ごとにメモがついていて、丈夫でしっかりしていて、小さくて小さすぎず、文字や罫線がうるさくなく、紙ががさがさしていないこと。消しゴムのカスとかつくとテンション下がるのでビニールカバーは却下、かさばるのでリングも却下。就職していないからクオヴァディスはまだ早い(なんとなく)。で、MOLESKINEのシンプルなものになった。決め手は紙面のつつましさと皮および紙の触り心地のよさ。限定色の赤にも惹かれたけど、微妙に高いのと、すこし赤すぎる感じがして黒に収まった。日にちは一月からだけど、多分待ちきれずに無理して使ってしまうと思う。
けいぶんしゃでは、用事以外にも長居してしまう。近頃は小さい冊子を編集するという大事業に関わっているので、グラフィックデザインや装丁の本に目がいく。ついつい荷物を床において立ち読みにふける。
買ったのは、また別で、料理の本。
- 作者: 石井好子
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 1983/05
- メディア: 文庫
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(これはレシピ版だけど同名のエッセイの方)というのを、昔、母の誕生日に贈って、母より自分があっという間に気に入って読んでしまったくらい大好きなのだ。
香り立つようなオムレツやグラティネ(オニオングラタンスープ)、鶏の煮込みなどの描写に陶然として台所に立つ。文句なく美味しそうな文章は、スプーン何杯・何グラムよりもずっと効果的にして厳しい料理の教科書である。おまけに「ブドウ酒」とか「バタ」「棒パン」他、すこし古めかしい言葉が上品で好ましく、一昔前のヨーロッパへの憧れを喚起する。ただ、想像上の理想を追求してつくる料理は完璧に自分好みで、あまり普遍的妥当性を持たなくなる恐れがある。オムレツについて言えば、この本と、森茉莉のお蔭でかなりいい線いってると自負しているが、たまに訪れる客に言わせると、胡椒が効きすぎらしい。
何はともあれ、今日の収穫から、どんな実験的料理が出来るか楽しみだわ。