バイトがキャンセルになって、降って湧いた休日は奈良へ。iPodが行方不明なので、音楽の代わりに100円で買った文庫をお供にする。アクロイド殺人事件 (偕成社文庫)、おそらく、最も犯人の知られたミステリの一つ。私ももちろん犯人を知っている。この手のアイディアって、もうかなり古いとは思うけど、クリスティーは徹底して意地悪なので、一回犯人を知ってから再読しても、やるなーと語りのトリックを楽しむことが出来る、らしい。私の場合は、実は誰が殺されるのか知らなかったりするので意外と普通に読める。
 小雨の奈良では明日で終わりの奈良県立美術館の展覧会、『応挙と芦雪』天才と奇才の師弟 応挙と芦雪へ。隠れ芦雪ファンとしてはちょっとわくわくしていた。けど、残念ながら、期待しすぎていたみたいだ。いくつかの現実問題が気になっていて、作品の前に居ながらほとんど違うこと考えてた私が悪いのだけれど。現実への注意が足りない、とベルグソン先生なら仰るかも知れぬ。それにしてはガラス越しの現実の方だって、もう少し私の注意を妄想世界の現実から引き上げるよう努力してくれてもよさそうなものではないか。