実家では、相変わらず水槽の魚のように無為に、作って食べて寝て本を読んでいた。
 ちょうど市のジュニアジャズに招聘されてきたモンゴルの音楽学校の生徒さんが何日かステイしていたので、図々しくもリハーサルに潜って聞いてきた。馬頭琴は胡弓よりかすれたような物悲しげな独特の色気がある音をしている。コントラバスサイズも始めて見た。角笛、横笛、琴、そして、ピアノのような弦を撥で叩いて、一気に音楽を華やかにするヨーチンという楽器は、うちに泊った美少女の担当だったものだ。みんな高校生くらいなのに演奏も愛想のよさもプロ並み。
 風神秘抄荻原規子の風神秘抄読むことが出来た。(エンタメ本で読みたいのは実家に帰った時に図書館でまとめて借りて読むのだ)いつになくヒーローが格好いいと思う。喧嘩の達人、笛吹き、ヒュー。平安後期で芸人や遊君が大活躍するので衣装替えも華やかだ。行き着く果てには、二月に二日を過ごした浜辺に違いない(確信をもって!)波に洗われ優しく角の取れた小石が広がっている。