買い物に行ったら妙に疲れてしまった。

ユルスナールの靴 (河出文庫)

ユルスナールの靴 (河出文庫)

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ハドリアヌス帝の回想 (ユルスナール・セレクション)

ハドリアヌス帝の回想 (ユルスナール・セレクション)

 友達なんかに「これはいいよお」と紹介されたり薦められたり、更には熱く語られたりした本とか映画とかを「どれどれ、じゃあ。」とみるのには、自分で発掘するとはまた別の楽しさがある。「本当は何にも言わないで見てもらったほうがいいんだけど・・」といいながら熱く語らずにはいられないらしいその続き、しっかり聞かせてもらおう。
 回り道は最短距離より楽しいものだ。他人の目を借りてみる。その人の思考の枠組みのようなものをくっつけたままの作品と出会う。色眼鏡で色あせる作品なら、その程度のものだったということだ。いくつ寄り道をしても、届くものは届く。
 いつしか、目の前から須賀敦子ユルスナールさえ消えて、彼女達に導かれた私と、怖いほどに格好いい、思慮深く激しい、自由で従順なこの稀代の皇帝とが二人きりになっているのに気付くように。