写真は本場ウィーンのホテル・ザッハーのザッハトルテ。まるで場違いながら、氷雨の降る中、他の大勢の場違いな観光客に混ざってしかと味わってまいりました。隣に大量のホイップクリームがついていて、これはお砂糖抜きなのだが、その事実にしばらく気づかないくらいがっつーんと甘い。オレンジか杏のリキュールを使ったジャムが入っていて、これがチョコレートと合うの。こちらのお菓子は甘すぎて我慢できないとよく言われるが、私はお菓子は甘くていいのだと思う。甘いだけでなくかなりボリュームもあるが、口にする瞬間、これぞ至福という感じで、ただお菓子とそれを楽しむ自分だけが存在している。
 旅行の間は、基本的にいかに食費を抑えるかばかり考えてたので(ザッハー襲撃は例外だ)正直あんまりたいしたものを食べていない。ユースホステルの朝ごはんはパンがそんなに美味しくないのを我慢すれば素敵だったが、他はいろいろで、ウィーンで鳥の足を頼んだらぶよぶよしたお米がついてきたのには辟易した。どこでも比較的安く済んでハズレがないのはケバブ。ドイツではパンにソーセージはさんだものがあちらこちらにあって、このソーセージはどこでも美味しかった。きっとソーセージがこんなに美味しいからパンを改良する必要を感じないんだろうなー。ぺちゃっとしたキャベツ(私負けましたわって感じのする代物)とかポテトがついてることもあった。オランダではあまり楽しい思い出がないのだけど一ついいところは、コンビニ風の店で、200円くらいで100%のミックスジュースとかスムージーが手に入ること。パリに戻って友達の手料理に感激し、次の日駅のスタンドで買ったサンドイッチの美味しさに感動した。
今はフランス。今日はロータリーの方に昼食に招待され、ヴィシーに連れて行っていただいた。本場のヴィシソワーズとターボットというカレイを大きくしたような白身魚のソテー。魚は身がしまっていて歯ごたえがよく、控えめな甘さの野菜のソースがよく合う。改めてヴィシソワーズを考案した人の功績に思いをめぐらしたことは言うまでもない…。デザートに至ってはもうペンを置きましょう。敵を増やしそうだ。
 ドイツ人はたまに食べながら飲み、フランス人はたまに飲みながら食べる、という言い回しを今日聞いた。私といえばもちろん度々レストランに行けるわけはなく、二口コンロなんて恵まれた環境で自炊生活を再開したばかり。野菜やチーズの安さに感動する日々である。来年の夏に備えてヴィシソワーズ研究を始めてしまいそうだが、本分を見失わないように気をつけないとね。