クレルモン市主催の学生祭典週間、控え目ながらほっつき歩いてみた。例えば火曜は映画館が全部2.5ユーロという日本ではあまり考えられない事態だったので(何個かあるうちの一つは一週間2.5ユーロだったので昨日も行ってきた)観て来ました『4mois3semaines2jours(四ヶ月・三週間・二日)』。
 *以後内容・画面描写してしまう危険性あり*
 1980年代ルーマニアが舞台で、非合法だった頃の中絶のお話である。もともと重いテーマで、時代背景考えると、この頃はそうだったのね、で済ませることも出来るかもしれないのだけど、簡単に済まさせてくれないのね。主人公の友達がその処置をすることになる朝から深夜までの一日を描いているのだけど、二時間に満たない時間に収められた一日が一日と思えないほど耐え難く長くて、自分が肉で出来た生き物であることが異様に重く感じられる。ほとんど三脚使ってないんじゃないだろうか。微妙な揺れが全体の調子を不透明にするとともに、誤魔化しでなく時間が流れてるのを意識させる。一刻も早くここを離れたいと思っている私には食卓の楽しい会話は拷問でしかない。白茶けた街灯さえ十分にない夜道を走り(カメラも走っている。暗くて怖い)、肉塊をどうにかしてホテルに帰ると、友達は部屋にはいなくって、その後のラストに、九時半始まりの回に備えて血の滴る牛肉を食べていた私は軽く吐き気を催しながらその吐き気の催させ方の見事さに内心拍手を送る。正攻法だ、と思う。