呼び方親しげな割りに生で聴くのは初めてだったな。
ジャズ週間、折角なので奮発して木曜はコンサートを聴きに行った。前半はチック・コリアのソロ、後半はアリ・ジャクソンとフレンチコネクション。二部構成といっても八時始まりでそれぞれしっかり二時間近くやって、終わりのほうは何かもう意識朦朧としてきたけど。
 チックさんは、ひょいっと空気の流れを変えてしまうのだった。音って本来そういうものね。即興のソロというのは何だか奇跡のようで、目の前で音が紡がれていくのを見るのは本当に不思議だ。流れていくときの上にひとつひとつ置かれていく色。ふっとした変拍子から色の調子がくるくる変わっていく。それから子供のための曲があって、正式な名前は知らないのだけど、丁寧なメロディーと、すれた協和音にはないピュアな響きが、もうここにはないすごくすてきな何かを思い出させてくれそうで、聴いてたときからずっと言葉を探しているのだけどみつからない。もう少しで思い出せそうな感じそのものかもしれない。