とも、遠方より来たる。今日は半日お勉強は休業にして貴船へ。
 湿っぽく冷え込んだ山道の傍らには紅葉の流れる谷川。もみじは若干早いくらいだが、このいわく言い難い淋しさこそ京都の11月であります。
 貴船は、川床に鮎の避暑地だと思ってたら、恋に悩む女性が訪れる場所でもあるらしい。それも、和泉式部蛍の光に心情を重ねて歌をのこしたという筋金入りの悩み場であった。うーん、重いよう、と歩いていると、上には上があり、貴船神社の奥の縁結びの神社に行ってみると、ここはイワナガヒメが、なんとも尊い自己犠牲の御心で後の世の人々の縁を結んでくださるところだそうで、申し訳ないような悲しい気持ちになってしまった。
 イワナガヒメコノハナサクヤヒメの話で思い浮かんだのは、ルカによる福音書にあるマリアとマルタの姉妹の話。マルタは決して醜い設定ではなかったはずだが(マリアはマグダラと同一視されるのでかなり美人なんだろうけど)、普通に精一杯もてなそうと忙しく立ち働いていたのに、ずっと座っていたマリアの方が良い選択をしたと褒められるのはひどい哀れな話だ。ただ、これは単純に美人は得ね、という話でもなく、よい方を選ぶということが、必ずしも論理的に正しくて有益な方を選ぶことと一致しないことが、結構究極のところではちょくちょくあるのだといっているような気もする。
 気を取り直して善哉。