八時前に出町柳を出発し、神戸、兵庫県美のウィーン美術史美術館の静物画展(兵庫県立美術館-「芸術の館」-【ウィーン美術史美術館所蔵 静物画の秘密展】)&シンポジウムへ。

 ヤン・ブリューゲル(父)の花なども予想以上の迫力だったが、今回の拾いものは、アントニオ・デ・ペレダの≪ヴァニタス≫。直に見ると天使の衣、肌の質感や甲冑など、群を抜いて巧い。個々の細部だけでなく、全体の構想も、何度も読むように見直すのにたえるもの。講演には、この作品を扱った手堅い発表もあり、興味ぶかく聴いた。
 しかし、慣れない早起きとアルプススタンド(安藤忠雄さんです)に座っての講演会は疲れました。しかもこのしめしめした天気。思えば、去年の九月にウィーン美術史美術館に行ったときは、氷のように冷たい雨の降る中入場を待たされたわ。その朝夜行で着いて、ユースに大きい荷物を置いてメイクだけして、朝ご飯を途中で食べながらトラムで向かった。北方はハードスケジュールで回ったので、二日に一度くらい夜行列車にのったが、降りた日はとりあえず美術館に入ってしまうというのが私の策だった。とにかく暖かいし、安全だし、テンションがそれほど上がらなくても絵を見ていれば楽しいし。ウィーンはひどく貴族趣味で厭味なところだったが*1、柔らかで豪華なソファーがふんだんに用意されていて、ティツィアーノの前で一度記憶が飛ぶくらい一瞬で深く眠ったのだった。*2
 今日は帰ってすぐお風呂にロクシタンチェリーブロッサムの入浴剤を入れてゆっくり。恋人の送ってくれた音楽を聴きながらジンジャーエールを飲む。まだほんのり桜の香り。こんな時間を過ごせば、いつも内面も外面も美しくいよう、なんて思えるのだけど。
 これで一息、明日明後日は、最後の悪あがきと思って戦うぞ!

*1:たとえばパリの厭味というのは、こういった金ピカが悪趣味なことを理解しているところから来るように思う。

*2:関係ないけど、神戸とウィーンというのがまたまるで似たところのない街じゃないかしら??