思ったことを口に出すな。
またとっぴな考えを軽々しく行動に移してはならぬ。
人に親しむはよし、だがなれなれしくはするな。
語るに足る友と見きわめをつけたら、
たとえ鉄のたがで縛りつけてもはなすでない、
だが羽根もそろわぬヒヨコのような仲間と
だれかれかまわず握手して手の皮を厚くするな。
喧嘩には巻き込まれぬよう用心せねばならぬが、
いったん巻き込まれたら相手が用心するまでやれ。
人の話には耳を傾け、自分からはめったに話すな。
他人の意見は聞きいれ、自分の判断はひかえるのだ。
財布の許すかぎり着るものには金をかけるがいい、
風変わりなのはいかんぞ、上等であって派手ではないのだ、
服装はしばしばその人柄をあらわすという、
この点については、フランスの貴族たち、
あるいはえりぬきの人たちは第一人者だ。
金は借りてもいかんが貸してもいかん、
貸せば金はもとより友人まで失うことになり、
借りれば倹約する心がにぶるというものだ。
なにより肝心なのは、自己に忠実であれということだ、
そうすれば、夜が昼に続くように間違いなく
他人にたいしても忠実にならざるをえまい。

give thy thoughts no tongue, / Nor any unproportion'd thought his act. / Be thy familier, but by no means vulgar./Those friends thou hast, and their adoption tried, /Grapple them unto thy soul with hoops of steel,/But do not dull thy palm with entertainment /Of new hatch'd unfledg'd courage. Beware /Of entrance of a quarrel, but being in,/Bear't that th'opposed may beware of thee./Give every man thy ear but few thy voice./Take each man's censure, but reserve thy judgement./ (...) /////Neither a borrower no a lender be,/For loan oft loses itself and friend,/And borrowing dulls the edge of husbandry./This above all, to thine own self be true,/And it must follow, as the night the dayn,/Thou canst not then be false to any man.

 ケネス・ブラナーの『ハムレット』を観た。音楽のような英語の響きに心奪われ、19世紀に舞台を移した装飾や衣装が一々楽しく、フラッシュバックやカット切りの工夫が目に心地よく飽きさせない。そして、なによりこのお話の、テキストの面白さを実感した。本当に、汲めども尽きぬ、というに尽きる。
 本日は一幕三場、パリに留学に旅発つ息子レアーティーズに、デンマークの宰相ポローニアスが送る教訓を引いてみました。このおじさんもうまいこというよねえー。ちなみに手元の白水Uブックスの小田島訳で。