週末かけて、美学会を聴きに東京へ。最終的にいろいろと考えるヒントをもらって有意義な三日間だった気がする。
 最終日のパネルディスカッションで、平田オリザの話を聞いて妙に興奮した。(社会の最底辺における)平和と尊厳を守る最後の防衛線としてのアート。後退戦を生き残るツールとしての文化。そんなキーワードに胸が熱くなっている。変な話だ。自分がフランスの何に惹かれているのか。(二十歳の時に初めてパリで二週間を過ごしたときに、そこで出会った素敵な女性に連れられて見に行ったのはイラン音楽の舞台だった。)美術館って何なんだろう。小学校の頃とかに親に連れられてた子供劇場の舞台を思い出したり、いつまでもうまくならなくてもだれも聞いていなくても弾きたくなるピアノのことを考えたり。ここへきてなお、西洋美術史の研究で頂点を目指すという考えに馴染めないのはなぜか。あるいは、幸運な偶然で再開したひとからの、こせこせ巧いこと周りを調整しながらやりたいことやる術は広い意味では人文知の中にあるという(もっと格好よくまとめたいものだ)、また眼を開かれるような指摘。
 ばらばらの刺激が連想に連想を呼んで自分の中におぼろげにひとつの像を結びつつある予感がする。