大阪は中之島国立国際美術館で明日まで開催中の『絵画の庭』展をお散歩。何人かから面白いと聞いていたのだが今までのびのびになっていたのを今日やっと行ってきたさー。28人の今活躍中の日本の作家による2000年代の絵画(平面)作品を集めた展覧会で、だいたい一人一部屋で、地下三階と地下二階を全部使った大きな展示だが、短編映画のアンソロジーを見ているような感じでとても楽しめた。
続き書きます〜
 いろいろ見てみると、現代の作品なんて知らないものの方が多いのに一瞬で好みが分かれる(しかも同じくらいの時間に見てたひとの中で四人くらい同じような性向の人がいるっぽかった、滞在時間から推測するに)。職人技とか超絶技巧というか「どうやったらこんなのできるのー?」みたいな技術の凄いのはまず外れがない。繊細な線描とか、リアルな描写、不思議な構図。それから、絵具や支持体(カンヴァス、板、ボード)と仲が良さそうというか、油絵の具のなかの粒子とかアクリルのぷっくりしたマッドな触感(触らないけど)、木目とかが楽しくて、見てるだけで絵を描きたくなるようなものも好き。
 加藤泉。最初の朴訥な木の立体に思わず笑みがこぼれる。油彩もちょっと彫刻風に、全体に人物の肌の色を塗ってから背景部分に暗色を重ねて削り取るように描いている。
 花澤武夫。おそらくいろんなところから引用してて、いぶし銀な印象だ。構図が渋い。で、モチーフがすっとぼけでかわいい。ミラノのカラヴァッジョの果物かごの構図に日本庭園みたいなのがごそっとはいっていたり、小さい画面を金地にして、イコンみたいな感じで「庭の小人」(アメリのお父さんが好きな小さいおじさんの人形かな)が釣り糸を垂らしているのが神妙に「太公望」のタイトルになってるのには笑ってしまった。
 加藤美佳。凄い!しかも、好き!!どのくらい凄いかというと、「画家やってなくってよかったー」って心底思ったくらい。こんなハートに直球な感じを考えられないような技術でやってのけられては同業だったら耐えられまい。少女のまつ毛、瞳、唇、くずもちのようなぷるぷるしたもの、ガラスボタンみたいなもの、鉱石とか貝殻とか星の砂とかを組み合わせてアップにしたもの、あらゆるキラキラが、近寄っても遠くでもどうなってるのか分からないくらい巧妙に描かれている。でもその巧妙さには技巧の一人歩きはないし、ましてリアルすぎて不気味なところなどない。ちいさな頃から、ずっと「あそこにある」と思って、でも確かめられずにとっておいた宝物があるとしよう。もう記憶も薄れてしまっているけれど、とても素敵だったことは鮮明に覚えている。そういうものを遂に目にすることが出来たとする。しばしばあることだけど、必ず想像していたのに比べて期待外れでがっかりしてしまうんだよね。でも、それが、おぼろげな想像を裏切ることなく、期待以上の姿で、現に目の前に現れたとしたら??―彼女の絵はまさにそんな感じだと思う。ぜひぜひ機会があれば実物を見てみてくださいな。http://www.tomiokoyamagallery.com/artists/kato/
 大御所草間弥生(の難しい漢字)のお部屋は、やっぱり半分くらいで鳥肌が立って身体痒くなってきたので途中で断念。