明日発表!とか原稿もうすぐ上げる!とかいうときに、食べたくなるものというのが決まっている。決めている、と言った方がいいかもしれない。体調とか気分、季節から天気、食材の鮮度までを考慮しながら自分が本当に食べたいものを作って食べるのは、最高の贅沢の一つで、気持ちの良い人が一緒ならなおのこと素敵だが、立て込んでいるときにはちと荷が重い。そこで、簡単に調達出来て気合いが入る適当な食べ物を「気合い食品」に認定するというシステムである。
 京都では、引きこもり先が研究室が多かったのもあり、王道はスパイシーのロースカツカレー、さもなければ「すきや」のキムチ牛丼、ごくたまにモスバーガーのとっておきレタスバーガーとオニポテとジンジャーエールのセットであった。どれもすぐに作ってもらえ、かつお持ち帰りが出来るのが魅力である。
 さて、パリでも幾多の困難を乗り越えるうちに大体決まってきた。私たちの棲み家はパリ第六大学に程近く、手ごろな価格でチェーンじゃないファーストフードが揃っている。中でもがっつりお腹が空いているときにはケバブとポテトのセット、そうでもないときにはハムとチーズとトマトとレタスの入ったクレープを食べることになってきた。でもこれらは日本のお手軽気合い食品と比較すると多分脂肪とかが半端ないので(しかも私も年とって、お肌の酸化が気になるし)あまり頼り過ぎては後がつらい。そこで最近は、持続可能な気合い生活のため、我らがカルフールというスーパーで、ラヴィオリとかパックに入ったポタージュスープ、生野菜、生ハム、ヨーグルト、バナナなどを買いだめするんを並行してやってみることにしている。
 まあこんなの書いてる暇があれば仕事しなさいって?全くその通りである。まさしく、森見さん、アンタ手紙書きすぎ、ってやつです。でもこういうくだらないことで、指の滑りをよくするのは(昔なら筆の滑りを、というところか)わたくしにとってはまこと欠くべからず重要な点に付きますれば何卒ご勘弁賜りたく。