からんからんと喜ばしい音を響かせそうな黄金色の木々の葉も大半が落ち、朝窓を開けるとモンパルナスタワーは濃霧で半分消えかけている。ヨーロッパ人がいよいよクリスマスを本気で楽しみにする期間に突入した。私は正しく引きこもり、のはずが、今週末は関西に負けず劣らずイベント目白押しなパリマジックにつき思うように行かずなかなかに充実した日々。
 金曜は七区のアルマ橋の側の劇場で開催されてたギターフェスティバルで、リュートのプロの演奏が聴けるというので足を運んだ。

 リュートといえばこういう感じで17世紀オランダ絵画に欠かせないスパイスだが、少しくぐもったような響きが思いのほか優しく典雅だった。古風なバロックの小品は広すぎない会場でもそっと息をひそめていないと壊してしまいそう。まるで完成された小さな世界といった感じで、バロックの絵画や建築から想像する世界観とは随分違って見える。(↓リュートを探してみてね)

 その後二人目の演奏者は、フランスのギタリストで、リュートとのつなぎにルネサンスの小品から始め、イタリア繋がりだがほとんど現代曲で会場をびっくりさせた後に、19世紀前期に活躍したジュリアーニ作曲、「ロッシーニ風に」という、明るく美しいメロディーラインにメロドラマあり超絶技巧ありの逸品で会場を魅了した。このR.Jousselmeという奏者は演奏はもちろん、選曲やら姿勢やらを含めて全体的な「パフォーマンス」が素晴らしく、ギターって楽器の面白さを堪能できた。何より、ピアノとか管楽器に負けない、あんなに「歌える」楽器なんだー、というのは大きな発見だった。と同時に、特に現代曲の演奏を聴いている時に、音階や和音のシステムの捉え方がピアノとは全然違うような不思議な感覚があり、隣のギター弾きに音色を変える方法など教えてもらうにつけても、なかなか興味がわく。

 これは別件、最近教えてもらった料理♪良く熟成したカマンベール(lait cruと書いてある工業的でないチーズを、柔らかさを触って確かめてから買うこと)丸ごとのフィルムを取り、木箱に入れたまま、上辺に切り込みを入れ、蜂蜜をたっぷりかけて200度のオーブンで約20分焼く。パンとサラダと一緒に一人一つ、スプーンですくって頂く。想像しただけでうっとりしちゃうでしょ?