今日ちょっと遅れて家賃を払いに行ったら、フランス人である大家さん夫妻に「いいものがあるのよ」と「白い恋人」を大箱から取り出して二枚渡された。あの、石屋製菓の北海道銘菓で、たまに面白くなったり変になったりしてる、あれです。
 何故こんなことになったかというと、ここの屋根裏に住み始める前、丁度日本に一時帰国した後だったので(しかも帰国する旨を伝えていたので)お土産に買って行ったのである。京都の和菓子の美味しいのは日持ちがしないし、羊羹とかは好きかわからないし、かといって神戸の洋菓子はフランスそのままだしなあ、とネタ切れになって、じゃあもういいや、北海道で一番有名で無難なお菓子で(私も好きだし!)、と決めたもの。その時は、特に奥様が喜んでくださって「美味しかったわ」って後からお礼も言われたので、ああ、フランス人にも抵抗のなさそうなお菓子にしといてよかった、ぐらいに思っていた。
 ところが、私が思っていたよりもずっと気にいってくださっていたらしい。彼らが冬にシンガポールを旅行した際に北海道フェアが開催されていて、「コイビト」を見つけたのだが、「馬鹿みたいに高かった」から断念し、この度娘さんが海外から帰るときに成田を経由するのでわざわざお願いしたというのだ。
 この話のポイントは二つあって、まずは、上にちらっと書いた内容から予想できるように、そして、実際に御主人は中国史の研究者であったり息子が海外にいたりして、かなり異文化に開かれた家庭の方々ということ。日本にも来たことがあるとか。なんなら羊羹とか緑茶の類はもちろん、ともすると生八橋なんてのも疾うに嗜んでらしたかもしれぬ。もう一つは、「コイビト」袋にchocolat blanc et langue de chatとフランス語まで併記してあるフランス起源のお菓子であること*1。そう、北海道のフランス菓子は、羊羹もイケる(予想)フランス人にわざわざ選ばれたってこと(ちょっと煽ってみました)!
 久々に食べた「白い恋人」、やや密度の濃いラング・ド・シャと、北海道のソフトクリームのようにフレッシュな牛乳の風味を前面に出したホワイトチョコがよく合って甘さも控えめ、確かにヨーロッパにありそうでない美味しさでありました。海外へのお土産にお悩みの方、たまには北海道の自然の恵みを活かした自慢の洋菓子を候補に入れてみてはどうでしょう?

*1:ラングドシャとは「猫の舌」の意。表面がざらざらしているのでそういう名前が付いたそうです。