ちょっと真面目に京都の真夏を遊んでみたので、写真をご紹介して舌舐めずりしていただこうかと思う。家から五分歩くと哲学の道に出る。上の写真は、その途中で出会った小さい人々。その日の散歩コースは南禅寺の近くの赤レンガの水道橋まで。

 南禅寺塔頭の一つで庭が公開されていた。ルドンのパステルを思い起こさせるような水面と白日の下なのにどこか異界じみた桔梗の花。


 
 宵山の日の四条通りを埋め尽くす人々。パン生地をちぎったような厚みのある雲。熱く湿気を帯びた重たい空気。ヨーロッパの黄昏とは全く違う不穏な騒がしさに充ち満ちた宵の入りだ。


 翌日、人が多いから(あるいはバイト先で稼ぎ時だったために)避けていた山鉾巡業だが、今年初めて間近に観覧した。

 新町御池に陣取って鉾の辻回しを堪能。何しろ京都の伝統的なお祭りの花形のメインイベントなだけあって、恰好よさときたら何者かである。張り切って早起きして浴衣で並んだところ、あまりに素晴らしい晴天のため、うなじと手足の先っぽがこんがりローストされてしまったけれど、それでも満足。

 とらや本店の菓寮(喫茶店)へ。御所の西隣の一等地に立つ木を贅沢に使った空間は、かの旭川駅を設計した東大の先生によるもので、鬱陶しい雨を涼やかで風流な舞台装置に変えてしまう。…のだが、この建物を巧いこと写真に収められなかったのでもっと強力な爆弾を一つ。

 どう?行ってみたくなったでしょ。ここのかき氷の小さいサイズが800円くらい。お茶とお菓子のセットや善哉を頼むと千円越えのとんでもないブルジョア価格なのだが、外食二回ぐらい我慢して食べるに値するとっておきの場所とお味でした。